2015年11月3日火曜日

結婚30年の記念日に亭主のクライミングに付き合うという妻の人生

最終6ピッチ目終了点直下の妻


11月2日は休暇をとって10月31日から11月3日まで四連休として妻と山登りへ行ってきた
退院後、初めての山登りで、最後の山登りから4ヶ月以上が経過していた
2009年の骨折では5ヵ月後にマスキ嵐沢を登っているので、一か月前倒ししての山登り復帰となる
2ヶ月の入院生活で足の筋肉は落ちてやせ細っているので一時間以内の歩行時間となるアプローチが短く、下降も簡単というような現在の私にぴったりのコースがある
それは二子山中央稜 七回目の登攀となる
ただし一つ問題がある それは妻のクライミング能力が5.5を限界としている点だ
それで、妻が登れないところはガイド技術のいくつかを使って引き上げることにして二子山へ向かった

10月31日
午後遅くに四街道の自宅を出発
群馬県上野村に到着したのは19時40分
いつもの場所にテントを張ってお酒を少したしなんで就寝

11月1日
快晴、今日は結婚記念日、それも30年のそれだ
妻はまさか30年後の結婚記念日に亭主とクライミングをするとは想像すらしていなかったと思う
のんびり支度をして股峠到着は9時30分 車の中にあると思っていたタイブロックとルベルソがない
仕方がないので妻のビレイはグリグリで行い、引き上げシステムはフリクションヒッチと滑車の組み合わせで行うことにして9時44分出発
10時過ぎに防火用赤いドラム缶のある中央稜取り付き点に到着
慰霊石盤に祈りをささげてから支度をして登り始めた

1ピッチ目
二子山中央稜は3ピッチ目が核心部とされるが、毎回私がもっとも注意しながら登るのはむしろ1ピッチ目だ フットホールドの乏しいフェイスを登ってハンガーボルト2本のレッジから登りづらい右のフレーク状クラックを超えて右へとトラバースして大テラスへ 大きくトラバースするので途中の灌木にランナーを設置しないとセカンドが落ちた時に大きく降られることになる テラスに到着すると6人パーティーが登攀中で1時間程休憩 【引き上げシステム使用】
2ピッチ目
正面のフェイスを登る ハンガーボルトが正面左にあり、これにクリップするがさらに左側へ回り込むとルートをはずれてしまうので少し右へ戻るようにして直上してレッジでビレイ
3ピッチ目
いわゆる核心部とされるクラック 石灰岩特有の穴をプロテクションとすれば安全度は高まる このクラックを登り終えると中央稜最大のテラスに到着 このテラスはテントが張れるほど大きなもので樹木が数本生えておりこれでビレイが可能 【引き上げシステム使用】
4ピッチ目
このピッチは短い 右から大きく回りこんで少しカブリ気味のフェイスを登ってテラスに出る 易しいピッチだがプロテクションは一つだけで登りついたテラスは浮石の巣なので落石を発生させないように要注意 順番待ちで、しばらく休憩 【引き上げシステム使用】
5ピッチ目
右から回り込むようにして薄かぶりの壁をガバの連続でグイグイ直上してレッジへ 妻は指がつってホールドできないほどに頑張った 【引き上げシステム使用】
6ピッチ目
傾斜のゆるい易しい岩場を右へ回りこんで凹角を直上して15時15分に妻を迎えて終了
6人パーティーは名古屋から来たとのことで楽しそうで、見ていても心和む

クライミングは錦糸町や印西で二ヶ月前から再開しているのでさほど問題がないことが確認できたが、脚力の低下した私にとってはたった20分の一般登山道の下降に情けないほどに難儀した
太ももの筋肉が負荷に耐えかねて悲鳴を上げたといったところか
16時30分に上野村のキャンプサイトに帰着し、ゆっくりと温泉に入って筋肉をほぐす この温泉は湯温がちょうど良くリラックスできる 温泉としては伊豆が有名だが、伊豆は湯温が高すぎてリラックスできない
夕食のキムチ鍋が美味しく熟睡できた

11月2日
冷たい雨の降る朝を迎えた
気温は9度
今日も中央稜を登る予定だったが、それは叶わない
雨音にかき消されそうになるジャニスイアンに耳をすましながらしばらくまどろむ
今日は上野村の探索ドライブに決めて4時間ほど林道を走った
野栗沢上流へと続く林道をどんどん登って紅葉を楽しみ、天空橋という吊り橋を訪れた
おそらく観光目的の為に建設されたと思われる大きな吊り橋で、ガスが切れて雨に濡れた紅葉が染みるように鮮やかだった
午後早いうちにテントサイトに戻り、ゆっくり温泉につかる
明日は好天との予報だが、どこへも登らず朝一番で帰宅することにして就寝した

11月3日
6時に起床してお茶を飲みゆっくりと朝食の準備
昨晩食べ切れなかったご飯をフライパンでじっくり温め、ピーマンをいためて目玉焼きで朝食とした
9時前に上野村を出発
途中で休憩しないで一気に四街道まで走りきって13時15分に帰宅できた

結婚30周年をこのように過ごすことになった妻には感謝しているが、本当のところはどのように思っているのだろうかと運転しながら少しばかり思った

5ピッチ目


最終6ピッチ目

遭難慰霊石盤に祈る


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