2017年9月24日日曜日

ヨセミテ備忘録

こともあろうか初日にピトンスカーにセットしたマイクロカム(C3キャメロット#000)が抜けて30フィートクラスのフォールをして恐らく右足と右肋骨を骨折した
高いテンションを懸命に維持してThe Noseを登り切ったけれどCamp4に戻ってからガックリ来た
右足首は象の足のように腫れあがってクライミングシューズは履けなくなった
いまだに痛みに身をよじっているが、次回ヨセミテへ行くときの為に、記憶が鮮明な内に備忘録をしたためておく
これからヨセミテへ行きたい人の参考にもなるだろう

■日程
2017年8月31日出国 2017年9月17日帰国
■飛行機
●予約日5月23日
全日空のサンフランシスコ国際空港(以降SFO)直行便を利用した
成田出発が17時15分、SFO到着が10時55分
SFO出発が12時15分、成田到着が15時20分
全日空のサイトで予約 息子と二人で諸費用込み263,640円
預け入れ荷物は24㎏未満のバッグを一人当たり2個可能 従って息子と二人で96㎏未満までOKということになる これとは別に客室内手荷物があるから合計100㎏を超える物資を持ち込むことが可能
ANAのeチケットに記載されている帰りのSFOのターミナルは"1"ではなく"I"なので注意 つまり第一ターミナルではなくインターナショナルターミナルという意味である 前回もひっかかった

■レンタカー
●予約日6月9日
RentalCarsというサイトで検索しDollarを利用 16日間で保険込み64000円
★予約確認書を印刷しておく
巨大なホールバックがあるので現地で車種をアップグレード
日産のSENTRA 4万円ほど追加 現地でのアップグレードは高くつく ネット予約時に大型の車種を予約しておくべきだった

借りた日産のSENTRAにはNaviはついていない・・というか欧米のNaviはプアーなので計画段階からオプションのNaviを選択するつもりはなく、スマホのグーグルマップをNaviとして利用することを前提にして準備をしていた
すなわちスマホを車に取り付けるためのアタッチメント(100均)、USBケーブル、USBポートがない場合を想定したDC→ACコンバータは日本で事前に用意し、グーグルマップには主要な通過地点をマーキングしておいた
別途、ジオグラフィカで地図を事前にキャッシュし、マーキング
さらに全体の概要が理解しやすいようにグーグルマップの経路をA4で10枚に印刷
空港の到着ロビーから Car Rental CenterまではAirTrainというモノレールに乗車し終点下車 改札を出るとずらりとレンタル会社の受付カウンターが並んでいる
返却時は指定されたフロアに車を入れ、荷物の整理をしていると係員がやってきて鍵を渡して完了 ゴミ箱あり 総走行距離2,364km
■ヨセミテまでの経路
SFO→マンティーカ→マーセード→マリポサ→ヨセミテ 距離344㎞
飛行機は予定よりも早く着陸したが駐機場混雑の為にANA機は1時間半待ちとなり、レンタカーを発進できたのは13時半と大幅に遅れた
追い打ちをかけるように580号の渋滞に悩まされヨセミテ到着は21時半となった
120号はヘアピンカーブが続いた記憶があったので今回は敬遠した
■ESTA(入国電子申請)
●申請日8月25日
在日米国大使館・領事館のサイトから入って米国電子渡航認証システムで事前申請し承認を得ていないと成田から出国できない
14ドル/人が必要
★印刷しておく
■ヨセミテ国立公園入園料
30ドル/1台で7日間有効 私たちは途中でいったん公園外へ出て再度入園料を支払った
■初日の宿泊
●予約日6月10日
唯一Camp4だけは当日受付でキャンプができるが、早朝から並ぶ必要がある
従ってヨセミテ初日の夜はCamp4以外で宿泊し、翌朝Camp4の受付に並ぶことになる
初日の宿泊はヨセミテ渓谷内のオートキャンプ施設を希望していた
すなわち次の三つのキャンプ場であるが常に満員で予約はかなり難しい
1.アッパーパイン
2.ロワーパイン
3.ノースパイン
これらのキャンプ施設は「Recreation.gov」で空き情報を確認し予約する
しつこく毎日数回チェックした結果、幸運なことに早い段階でキャンセルがありノースパイン402を予約できた
路肩や駐車場での車中泊は検挙される
キャンプ場の予約に関する情報はヨセミテ国立公園情報が詳しい
■Camp4
米国の歴史的文化遺産に登録されているクライミングの聖地「Camp4」
サニーサイドキャンプグラウンドとも言う
キャンプ場内のど真ん中に石渡健君も登った世界的に有名なミッドナイトライトニングを有するボルダー「コロンビア」がある
Camp4は常に満員というわけでもないが午前4時頃から並ぶくらいが無難
 受付のキオスクの前にブルーシートとマットを敷いてシュラフにくるまれば快適
 以前は代表者が一人並べばOKだったが、現在は子供も含めて全員並ぶ規定に改定された
受付時には写真入りの身分証明書(パスポート)が必要で、車のナンバー、テント数、ホールバッグ数、ハンモック数を申告する
36のサイトがあり、それぞれのサイトには一つのファイヤーリングと2つのテーブル、そしてABCDの4つのフードロッカーが設置されており、4パーティーが設営できる
受付時にサイトナンバーとフードロッカーが指定されるが、サイト内では好みの場所にテントを張ることができる
夏期(5月1日〜9月15日)の間の連泊は7泊に制限され、7泊を超えた場合は次の受付まで7日間の間隔が必要というのが規則 7泊を超えてテント等を放置した場合はレンジャーによって撤去され廃棄処分となる
従って七泊八日以内に戻ってこれない恐れのある場合は出発前に撤収しておいた方が良い
この時困るのは食料品である 車に食料品を積み込んでおくと熊に車のガラスを割られてしまうので廃棄するしかない
キャンプ場内には飲料水専用の水道があり、トイレは古いが清潔
ちなみに私たちが利用したサイトは27でフードロッカーはD、健君たちが利用したのは同じく10-C 車はサイトに横付けできないので駐車場に止め、サイトまで50m~100mほど荷物を運ぶ 私たちはギア類などキャンプに不要なものはすべて車に積みっぱなしにした
ここは世界中から集まったクライミングバムの溜まり場でクライマーにとってはとても居心地の良いキャンプ場だと思う 
■トゥオルミメドウズ
Camp4が夏期には連続では最大七泊しかできないのでいったんマリポサへ下って「Mariposa Lodge」に泊まった
ロッジで今後の滞在先を探していた時にトゥオルミメドウズのキャンプグラウンド79Cに三泊連続の空きを見つけた
Camp4からトゥオルミメドウズまでおよそ95kmで一時間半かかる
非常に美しいところで周辺には明るい岩場がたくさんある
標高2600mの寒冷な環境で朝には水たまりが凍りダウンジャケットが欲しいほどの気温だった
キャンプサイトは車横付け可能でサイトはゆったりとした森の中にある

夏季限定の仮設売店があり生鮮食料品やガスカートリッジの入手が可能
9月中旬に入って気象条件の厳しい(いつ雪が降っても不思議ではない)トゥオルミメドウズは案外空いているのかもしれない
■シャワーと洗濯
ハウスキーピング(Housekeeping Camp)にシャワーとコインランドリーがある
シャワーは一人5ドルでバスタオルとシャンプーが用意されている
閑散時間帯には近くの倉庫で受付してくれる
コインランドリーは洗剤の販売と乾燥機の用意があり重宝する
■食料調達
ヨセミテバレー内には2つのストアがある
ヨセミテビレッジにあるビレッジストアは規模が大きく、生鮮食料品から日常生活用品まで揃う
営業は21時まで
ハウスキーピングにも小さなストアがある シャワーや洗濯時に決まって立ち寄るけれど品ぞろえがビレッジストアと少し異なっており、重宝することがある(1ガロン飲料水ボトルはここにしかなかった)
なお、ヨセミテへ入る途中のマリポサにパイオニアマーケットという大きなスーパーマーケットがあり、品数が豊富で蕎麦やうどんも売っている ヨセミテへ入る時にここで買いだめを行った
■クライミング能力
今までの最高グレードは外岩のフェイスで5.12b、クラックで5.11dとお粗末なレベル
ただし、アブミの扱いは得意 奥鐘山の大ハング群を難しいと思ったことはない
ちなみに石渡健君は5.14c~dを登り、その上アブミの扱いも上手い
■ギア調達
カレービレッジが改名されてハーフドームビレッジと称されるようになったが、ここにマウンテンショップがある
特殊ギアに分類されるカムフック(※)はここで入手するしかないが、総じて価格は日本よりも高い ヨシキスポーツで経験者のアドバイスを受けて必要ギアを厳選して事前購入した方が結果的に安くつく
なお、ビレッジストアに隣接して営業していたアウトドア用品店「SPORT SHOP」は残念ながら廃業してしまい、ハーフドームビレッジのマウンテンショップで買う以外に選択肢がなくなったことになる
※カムフックは実際には使用しなかったし、各種取り揃えたエイリアン、マイクロナッツなども使用せず
実際に使用したプロテクション(前進用を含む)は以下の通り
キャメロット#5#6を除く各サイズ2セット(ただし#0.5,#0.75,#1は3セット/#5は1セット)、C3キャメロット#0,#00,#000、キャメロットX4オフセット#0.1/#0.2,#0.2/#0.3×2,#0.3/#0.4×2,#0.4/#0.5、DMMオフセットナッツ#7,#8 当たり前の話だがピトン類は一切持参せず
また、日本でよく使われるプレート式アブミはクラックに引っかかるのでNG
■排便
自作の便器に輪ゴムでビニール袋をセットし排便
その後、輪ゴムでビニール袋を封印
飲料水用の1ガロンペットボトルをガムテープで成形した容器に収納した
■燃料調達
OD缶はマウンテンショップなどで販売されているが品切れになっていることも少なくない
実際にヨセミテ入りした翌日にマウンテンショップで確認したが在庫切れだった
私たちはSFOからほど近いダブリンにあるREIで購入してヨセミテへ入った
500g×2、250g×1で少し余った
■ネット環境
プリペイドSIM(90日間3GB)を利用したがヨセミテビレッジやCamp4周辺は電波良好で、ノーズの中でも通信可能 エルキャピタンの山頂付近でもグーグルマップが利用可能で下降に利用するトレイルの発見に役立った ハーフドームビレッジ周辺は電波状態が悪かった
このプリペイドSIMは6月7月のヨーロッパでも使用したもので、私の場合は利用期間が余っていたのでそのまま利用し、息子用に追加注文した
購入はアマゾン
データ通信のみ可能で通話はできないがLineの通話機能を利用すれば問題なし
なおテザリングはできない
トゥオルミメドウズではネット接続できなかった
■シャトルバス
ヨセミテバレー内には無料のシャトルバスが運行されており、Camp4にもバス停がある
詳細は以下の通り

■ハイキングコース
日帰りのハイキングコースが多数ある
※「Top of Half Dome」はハーネスとランヤード必携


■最終日SFO近郊での宿泊
全日空の出発が12時15分なので前日までにSFO近郊まで入っておきたい
トリップアドバイザイーで検索し空港近くの「Holiday Inn Express San Francisco-Airport North」に予約を入れた このホテルは以前にも利用したことがありSFOの「Car Rental Center」まで5分ほどの位置にあって簡単な朝食が付く
バスタブ、電子レンジあり
ホテルの隣にはマクドナルドがある
■総費用
正確に集計したわけではないが、現地での支払いはほとんどクレジットカードで決済したのでその明細から計算すると二人でおおよそ60万円といったところか
入園料とCamp4幕営料はキャッシュオンリーなので現金を1300ドル持って行ったが、実際に使ったのは250ドル程度だった
反省点としては不必要な現地調達ギアが多すぎた 今回の経験で必要なギアが明らかになったので次回からは現地調達ギアはゼロに近くなると思う
****内訳****
航空運賃26万
レンタカー10万
現地調達ギア15万
ホテル、食糧、その他10万

ウォーレン・ハーディング・・・素晴らしいルートをありがとう